2012年7月17日火曜日

全原発再稼働への茶番シナリオ「エネ聴取会」は博報堂が7854万円で落札

これからの原発依存の比率(0%~25%)をどうするのかというエネルギー政策について、政府が国民から直接意見を聞くとされる聴取会(エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会)が各地で開かれている。

第2回目の仙台と第3回目の名古屋の聴取会で、抽選で選ばれたとされる一般市民の発言者9人のなかに、15日の仙台では東北電力幹部社員や原発促進団体関係者など、また翌16日の名古屋では中部電力の課長職社員が、原発推進(20-25シナリオ支持)を主張する発言をした。

この無作為抽選で選ばれたとしてはあまりにもふしぜんな電力社員の当選に、2日連続で会場参加者から抗議の声が噴出して会場は騒然となった。この聴取会なるもの、端から「出来レース」「猿芝居」「やらせ」とにらんでいた人も多かっただろうが、いざふたを開けてみれば、案の定「茶番シナリオ」だった。

原発依存率を2030年までに0%の0シナリオ、15%の15シナリオ、の20~25%の20~25シナリオという3つの選択肢を用意、これを公開の場で一般市民から意見を聴取して、最終的に政府がその意見をふまえて原発依存の比率を決定しようというもの。この3つの選択肢を見て、「中をとっての15%で決まり!」とすぐに読めてしまった。いくら茶番劇をやるにしても、もうちょっと創意工夫のあるプロットにしてみては、と逆にこちらが気づかってしまうほどのひどいシナリオ。

脱原発という世論にあって、野田政権の本音である原発推進をいかにはかるか、に頭を悩ませたうえでの今回の「国民的議論推進事業」なんだよね。この3つのシナリオのなかの、0シナリオを選択すると「経済的負担が重くなる」とか「中心市街地へガソリン車等の乗り入れ制限」など、ごていねいな脅しの注釈付きだ。もちろん、②③シナリオで原発稼働させると、福島原発事故のように膨大な死の灰と呼ばれる放射性物質が大地や海などの環境に撒き散らされる可能性がある、とは一言もない。

まあ興味のある人は国家戦略室エネルギー・環境に関する選択肢〔概要〕」http://kokumingiron.jp/を読んでください。

そして、ふと、この聴取会にかかる費用がいくらなのか知りたくなった。さっそく内閣府へ電話。聴取会の予算が知りたいと言うと、国家戦略室に電話が回された。するとそれは経産省資源エネルギー庁総合政策課が担当ということで、その電話番号(03-3501-1511)を教えてくれる。

そこに電話して「予算は?」と訊くと、「そちらのお名前は?」とぼくの名前を訊かれてしまった。職業上、何回も国や市町村の役所に電話をかけているが、名前を訊かれたのははじめて。

「秋場だが、そちらは?」「カワベです」人に名を訊くときは、自分がまず名乗ることが礼儀なんだよ、カワベさん(これは言わなかったけど)。で、オオバヤシさんという人が担当(不在で2時間ほどして再電話)で、その人がすぐにその費用が掲載されている資源エネ庁のホームページ(下記参照)を教えてくれた。

これを見ると、この聴取会は落札にかけられ、博報堂と電通が入札して、博報堂が78,540,000円で落札していたことがわかった。電通の入札した金額はなんと120,000,000円。両社の入札価格の開きがすごいよね。

入札業者が2社というのも少なくないかい。全原発再稼働への茶番「エネ聴取会」の博報堂落札価格は7854万円。この聴取会程度(11回開催)の催事で7854万というのも民間とくらべるとではべらぼうに高いのでは。それにしても電通の1億2千万は吹っかけすぎだろ。

この催事、3千万でも「よろこんで!」やる業者は多いだろうな。それでも粗利50%はあるはず。いくら儲かったのかな博報堂。こんな見え透いた茶番に7854万という税金を使うなら、福島原発事故で避難している人にまわしたほうが、どれだけ役に立ったことやら。



 入札結果に係る情報

平成24年7月17日

資源エネルギー庁

長官官房総合政策課 発注者
資源エネルギー庁長官官房総合政策課
調達件名及び数量
平成24年度電源立地推進調整等事業(革新的エネルギー・環境戦略の策定に向けた国民的議論の推進事業) 1件
入札公告日
平成24年6月15日
入札日
平成24年6月25日
契約日
平成24年7月2日
落札者名
株式会社博報堂
落札価格
78,540,000円(消費税込み)
予定価格
非公表
技術点の構成
基礎点 80点、加点 87点



 入札者の商号又は名称
入札価格(消費税抜き)
技術点の合計
総合評価点
株式会社博報堂
74,800,000
167点
― 点
株式会社電通
120,000,000
182点
― 点



http://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/nyusatsukekka/1207/120717a.pdf

11 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

技術点をつける入札だったということは提案書が提出されていて審査員が採点した採点表があったはず。
博報堂がなにがしかを提案し、約束して点数がつくのですから。提案書と採点基準と審査員の顔ぶれと評価結果を知りたいものですね。支払い者として。

匿名 さんのコメント...

「べらぼうに高い」「吹っかけすぎだろ」は具体的根拠に欠けており、公開入札なのだから、「よろこんで!」やる業者が多いならば、もっと多くの者が応札したはず(誰も妨害していない)と思うが、概ねご主張には賛同します。

匿名 さんのコメント...

落札にかけられ→競売にかけられ

匿名 さんのコメント...

役所は役所としての名前を掲げて電話を受けているわけで,また電話しているのはこちらサイドなわけですから,まずこちらが名前を名乗るのが筋だと思いますが。

匿名 さんのコメント...

たしかに、べらぼうに高い印象がある。競争入札の事前に詳細な業務の範囲が明示されてるだろうから、その内容にもよるが、意外な業務がないかぎり、弊社ならもしそのあたりも取材されたら、是非また載せていただきたい。
しかし、電博しか応札しないということは、それ以外には不可能な業務があるということなのだろうか。
それとも、公募でなく指名だったということ(もしそうならその理由は?)なのだろうか。そういう世界のことは分からないが、そのあたりもできたら知りたい。
いずれも非公表にされるような内容ではないように思う。

匿名 さんのコメント...

上のコメントの「弊社なら」はミスです。省いて読んでください。

chakura mayumi さんのコメント...

金額の高さも然りですが、今、国民が神経質になっている原発問題の聴取会。

そして、博報堂に支払われるお金は血税です。

一企業がイベントを博報堂さんに請負依頼し同金額を支払われた事実が公になっても…私は特に気にならない。
まだまだ、広告代理店はバブリーなんだな〜と呆れ笑うぐらいでしょう。。

未だ、被災者の方々が苦難な暮らしなされている。

私は、秋場さまに感謝いたします。
知らせてくださり本当に、ありがとうございます。

こんな事がまかり通る世界に。。うんざりいたします。

この事は、公に広まらなければならない問題だと確信しております。

神戸市在住 M.T拝

Tamotsu Machida さんのコメント...

仕様書等を見て、ざっと、調べてみました。

仕様をみる限りでは、数千万円で十分受注可能だと思いますが、(おそらく)予定価格が高いため、入札するためには、全省庁統一資格「A」または「B」が必要です。「B」でも年間数十億円の売り上げが必要になるので、小さな会社では入札資格がありません。内容的には、売り上げ数億円の会社でも十分受注可能なのですが、入札から実施までの期間を考えると大手じゃあないと受けるのは無理が多いとは思います。聴取会は、8月末までなので、実質二月の仕事ですが、仕様上は11月末までの仕事なので、入金は(一括で)12月末になります。その間、数千万円の資金繰りを考えると小さい会社では厳しいですね。

一番の問題は、その期間が短いって事です。入札が7月2日で第一回の聴取会まで、2週間無かったですよね。これだと、広報期間がほぼゼロです。となると、大量動員を掛けられる電力関係者が(例え無作為であっても)選ばれる可能性はかなり高いはずです。
2番目の問題は、仕様上は、20個所程度開催(複数都市同時開催化)になっているのにもかかわらず、実際は11個所しか開催しないので、予算上は余裕がでていることです。
また、仕様上「インターネットでの申込者の応募を受け付けることのできる Web 上のシステムの構築」となっているサイトはhttp://kokumingiron.jp/ になりますが、それほど制作費がかかっているとは思えませんのでその点でも予算は余裕かな。

それと、この手のサイトの構築だと個人情報取り扱いが問題になるはずなので、普通はISO27001かPマークを要求されるはずなのですが、なぜかISO50001をもっていると加点されるのが不思議です。

技術点が高い電通が落札できなかったのは、技術点200点(内基礎点80点、加点120点)+価格点100点の一般競争入札だからです。電通がオーバーランしていなくて予定価格1億2千万円だとすると。電通の価格点は0点、博報堂の価格点は37点になるので、技術点の差を逆転出来ます。(もしくは、予定価格が1億2千万円未満で、電通がオーバーランしている。)
評価項目を見る限り、技術点で差が付く要素は、「1.事業の目的、内容及び実施方法」の加点項目50点部分だと思います。ここで、博報堂は17点、電通は32点だったと予想します。この点だと、博報堂の提案に新規性はゼロで価格勝負に行ったことが伺えます。

匿名 さんのコメント...

2週間の間に広報的なものを盛り込むとしたら、多くはPRとして無料でやってもらうことができるとしても、紙媒体に掲載を押し込む、映像で押し込むということをすると、軽くこの金額になる(むしろ安い)ので、もしかしたらメディアの費用がほとんどだったりするのでは?と思いました。また、この短期間で、そういったねじ込みが可能なのは両社だからこそだと思いますし、金額も抑えることができるのはこの2社だからこそなのかなと思ったりしました。内訳がわかるといいですね。会場代などにいくら、広報は何のメディアにいくらというのがわかると、べらぼうに高いとは思えないのかもしれないな、と想像しました。

rosi さんのコメント...

皆さんのコメント(特にTamotsu Machidaさんのコメント)を読んで・・

異常に高いとか、やらせとか、インチキとか・・大声で叫ぶ(シェア、リツイートする)。
それは軽率なのでは、と思いました。

ひとりひとりが少し調べて、複数の意見を聞いて、自分でちょっと考えてみることは十分可能ですし。

きちんと知ろうともせず、印象や単純化された伝聞で「悪」とターゲット化し断罪する風潮に、かなり怖さを感じてもいます。

rosi さんのコメント...

‎Tamotsu Machidaさんのコメントから、以下の疑問点が解消しました。

1・なぜ大手二社しか競合に参加していないのか。
2・なぜ電力会社社員が意見表明のスピーカーに選ばれているのか。
3・なぜプレゼン企画の評価で技術点が高い電通ではなく、博報堂が選ばれたのか。

このエントリの価値のある情報提供も含め、感謝します。