2011年12月29日木曜日

「安全基準に科学的根拠はない」「低線量の危険性を半分にしていた」ICRP委員、驚愕の事実を告白

【ただちに危険だ! 原発通信】№31


NHKが驚くべき事実をスクープした! 

その事実とはICRPの低線量被ばくの国際基準がでたらめだった、というものである。ICRP科学事務局長や低線量被ばくの安全基準を決めた元委員が、その基準の根拠を明らかにした。なんと彼らは「科学的な根拠に基づいたものではなかった」と言ったのだ。

昨夜(1228日午後1055分)NHKで放送された「追跡!真相ファイル『低線量被ばく 揺らぐ国際基準』」。この番組は、世界各地で安全とされていた低線量被ばくによって重篤な健康被害が起こっていることを報告、さらにそのICRPの安全基準はどういう根拠でつくられたのか、ICRPの現役幹部委員や基準を作った元委員に直撃取材したものだ。

チェルノブイリから1500キロ離れたスウェーデン北部サーベの住民にがんが際立って増加している。スウェーデン政府が発表した当地の外部被曝線量は年間0.2ミリシーベルトで、ICRPの国際安全基準を下回っているという。

ところが、サーベ住民はトナカイ肉を常食としており、その肉が放射能汚染されていたのだ。スウェーデンの肉の安全基準は300ベクレルで日本の500ベクレルよりも厳しい。それなのに、チェルノブイリ事故から25年たったいま、放射能汚染による被ばくでがんが多発しているのだ。

地元の大学病院の研究者マーティン・トンデル博士が110万人の食べものによる内部被ばくの調査をしたところ10ミリシーベルト以下だったことが判明。これはICRPが影響は少ないとしてきた100ミリシーベルト以下の低線量被ばくに反するものだ。そうNHKのナレーションが言うように「明らかになったリスクがICRPよりも高かった」のである。

そしてNHKの取材陣はアメリカ・イリノイ州に飛ぶ。シカゴ郊外に3基の原発が集中した地域があり、そこではがんなど難病で亡くなる子どもたちが激増している。その原因は地下水に浸透した原発由来の放射性トリチウムである。住民はこの放射能汚染された井戸水を飲料など生活水としてきた。

周辺住民1200万人を調査したところ、この地域は他の地域よりも脳腫瘍や白血病が30パーセント以上、なかでも小児がんは約2倍に増加していることが判明した。そしてその井戸水による年間被ばく線量は1マイクロシーベルト。え、こんな低線量で、と驚くのは筆者だけではないだろう。調査した地元の小児科医は「低線量被ばくが何をもたらすか知ってほしいのです」と述べる。

さらに取材陣はICRPの現役幹部や基準を決定した元委員にカメラを向ける。そして「これまで(ICRP)は低線量被ばくのリスクを半分にしていた」というICRP科学事務局長クリストファー・クレメントの驚愕の言葉を引き出す。

ICRPの「100ミリシーベルト以下はがんのリスクが0.5パーセントで影響が少ない」という基準の根拠となったのは、1000ミリシーベルトの被ばくで5パーセントがんリスクが高まるとされた、広島と長崎の原爆調査によるものだ。ところが、日米合同調査ではその半分の500ミリシーベルトで5パーセントという結果が出ていたのだ。つまりICRPの現在の基準は危険性を半分に値切っていたことになる。

しかもICRPは、原発や核関連施設で働く労働者の基準を、この半分からさらに20パーセント引き下げたのだ。それは原発推進者に配慮したと元委員は告白する。基準が厳しくなれば安全対策の費用に36900万ドルの費用がかかり原発の運転に支障をきたすからだ。

アメリカでは原発や核関連施設で働いていた労働者の放射能による健康被害が相次いでおり、その裁判も起こされている。この安全対策費用と引き換えに原発労働者は健康をうしない、がんなどの難病を引き受けさせられたことになる。

そしてこの元委員チャールズ・マインホールドは安全基準についてこう述べる。「科学的根拠はなく、ICRPの判断で決めたのだ」と。その「判断」とは、安全対策費用に莫大な費用がかかるという原発推進派の事情をくんでのものだ。

このようなインチキな基準を決めたICRP組織の背景を取材陣は暴露する。基準を決めたICRP委員17人のうち、13人が核開発や原子力政策の関係者であるというのだ。

日本の安全基準は、ICRPの国際基準に準拠している。そのICRPは科学的研究者の組織ではなく、原発推進サイドに立った「政策的な判断をする集団」である。これは筆者ではなく、NHKの取材者が発した言葉である。

ICRPが決めた基準によって「100ミリシーベルト以下=低線量=なんとなく安全」みたいなイメージが作られてきたが、もう100ミリシーベルト以下は安全ではないことが明確になったわけだ。

さて、筆者は問いたい。ミスター100ミリシーベルトの異名を冠する山下俊一・福島県放射線健康管理リスクアドバイザー、それに女子中高生を前に、野菜不足や飲酒・喫煙のほうが、福島の原発事故による放射線の影響より大きいと言った中川恵一・東京大准教授など、「放射線被害はたいしたことない」と触れまわる原発御用学者たちは、ICRPの基準決定のインチキが明らかとなったいまなんとこたえるのか、ということを。

2011年12月23日金曜日

東電社長「電気料金の値上げは事業者の義務というか権利だ」 。 国民「東電幹部を刑事裁判にかけるのは我々の義務であり権利だ」

【ただちに危険だ! 原発通信】№30


東電社長の西沢俊夫という男が口を開くたびに、人の怒りの感情に火をつける。「除染はボランティア」「責任を取るという言い方が正しいと言うことはともかく」、そして今回の電気料金値上げの申請について電気事業法に基づく事業者の義務というか権利だ」である。

この発言をテレビで聴いたとき、西沢社長がなにを言ってるのかすぐに理解できなかった。電気料金値上げの理由に「義務」とか「権利」ということばがつながらないからだ。西沢はこう言いたいのだろうか。電気の安定供給のために、電気料金を改定する義務と権利を東電は有していると。しかし、これは恐るべき上から目線での発言である。

この発言をゆるしているのは、東電管内エリアの住民は、ほぼ東電からしか電気の供給を受けられないことにある。つまり電気事業の独占化だ。そう、われわれは嫌でも、東電から電気を買わなければならない。水道、ガス、電気をライフラインと呼ぶが、電気はまさに現代生活における命綱である。その命綱を東電が握っていることが、こんな横暴な発言をゆるしている。

発電と送電の独占によって、世界でもっとも高い電気料金をふんだくることができ、しかもその料金には「東電関係者の接待用施設の維持管理費」や福利厚生施設や社内サークル活動費、自社株式の購入奨励金、高利の財形貯蓄の利子などまで算入」(東京新聞1223日朝刊)することができるのだ。

そして、そもそも値上げしなければならないのは、自分たちが起こした事故の賠償のためだ。自分がしでかした過ちを、それをあろうことか、自分が犯した被害者に尻拭いさせようという魂胆だ。「盗人猛々しい」とは東電のために用意された語彙かもしれない。こういう発言を東電社長が連発するのは、いままで嘘偽りの安全イメージ操作、安全神話を創作してきたこれまでのクセが抜けきらないというか、まだこの手法がまかり通ると思いこんでいるからにちがいない。

東電が電気料金値上げのために「義務」と「権利」をいうなら、われわれは東京電力が原発事故を起こし、病気や死にいたる天文学的な大量の放射能を大地や海など、人の住生活環境に撒き散らしたことにたいして、法的責任をとることを求める。

日本国民は東電役員幹部並びに原子力安全委員会委員、経済産業省原子力安全・保安院幹部職員等の刑事裁判の訴追を求める義務と権利を有する。

原発事故の放射能汚染のために、有機農法による安全な作物を栽培していた福島の農民を自殺においやり、15万の家族の住まいを奪って避難生活を余儀なくさせ、200万の福島県民と数千万の東北・関東の住民に死と健康被害の恐怖をまねかせたのである。しかも現世代にかぎらず、すくなくとも今後何百年もの世代において。

こんな未曾有の人類史的犯罪をなした者どもが、なんの法的制裁を受けないことなどありえようか。もし司直が、その法的役人としての義務を果たさないならば、日本は法治国家を放棄したとみなさなければならない。

そのときわれわれ国民は、唯一残された手段を行使する権利を有する。その「唯一残された手段」を東電並びに電力会社、原発に関連するすべての官庁役人・政治家・原発関連メーカー・ゼネコン・マスコミ・御用学者、いわゆる「原子力ムラ」「原子力マフィア」などと呼ばれている原子力利権者どもはよく心するがよいだろう。

2011年12月19日月曜日

ベラルーシの現状に日本の25年後の姿をみた。そして「収束宣言」の野田に解熱剤を投与してやってくれ。

【ただちに危険だ! 原発通信】№29


きのうの日曜日、福島第一原発事故と放射能汚染被害についてのTVドキュメンタリーを二作観た。一作はフジテレビ、もう一作はNHKだ。そう、一作はフジだ。あのフジサンケイグループのフジテレビである。

きのうの午後4時。日本テレビではクラブワールドカップの3位決定戦が熱狂のなか放送されていたが、その裏番組でフジテレビが「特命報道記者X」というドキュメンタリーを送っていた。その番組タイトルは「原発20キロ圏内の真実」。

フジの取材カメラは法的に立ち入りが制限された警戒区域である大熊町に入り、年間400ミリシーベルトを超える線量計の数値、置き去りにされた牛や豚の群れ、食糧が与えられず餓死白骨化した家畜、殺処分される生き残った豚、地震で壊れたままになっている家や道路を映し出す。まるで3.11から時が止まったままのようなこの町は、比喩ではなくまさにゴーストタウンそのものだ。

さらにカメラはチェルノブイリとその近郊の町にも入り、1986年の事故から25年たったその被害の現状を探る。何度除染しても危険な線量のまま下がらない地域、数百の廃村、廃町になった村や町の墓標、そしてベラルーシの病院では正常に生まれる子どもが2パーセントだという苦悩する医師の顔を映し出す。

チェルノブイリとフクシマ。日本の放射能汚染地域の25年後の姿を嫌でもチェルノブイリにみてしまう。

ベラルーシの医師は、入院している患者がチェルノブイリ事故の放射線の影響が原因であることについて口を閉ざし、本当の原因を知りたいのならバンダジェフスキー博士に訊いてくれと言う。

独裁国家ベラルーシは原発建設をたくらんでおり、そのためチェルノブイリ事故の健康被害の実態を明らかにすることを妨害・弾圧しているのだ。

バンダジェフスキー博士について、このブログ(【ただちに危険だ! 原発通信】№16 http://akiba1.blogspot.com/2011/10/16.html)でも紹介したが、博士がチェルノブイリ事故の放射性障害について究明したところ、ベラルーシ国家からでっちあげで逮捕・投獄され、その後海外の救援団体による活動で国外追放処分となり、現在ウクライナ・キエフ州のイヴァンキブ中央病院に勤務している。

原発事故の影響を隠蔽・過小評価しようとするベラルーシ国家の姿は、まやかしの「事故収束宣言」を出した野田首相の日本国家の姿と重なる。日本の原発事故の実態や放射能汚染の影響にたいする姿勢は、ベラルーシと二重写しになる。

それにしても、あのフジテレビがよくぞこんなドキュメンタリーを作ったものだ。もう、TVのバラエティの時代は終わっている。収束宣言ならぬ、バラエティ終息宣言をしたほういいだろう。これからTVが生き残る道は真実を追求するドキュメンタリーであることに、テレビ会社は早く気がついてほしい。

そして、もう一作はNHKスペシャル「シリーズ原発危機 メルトダウン ~福島第一原発 あのとき何が~」。3.11の地震と津波から爆発までの原子炉内部と制御室現場の実態を再現したものだ。

いかに東電や政府が非常時への準備を怠ってきたのか。メルトダウン、メルトスルーが起こり、破局的危機が差し迫っているときに、適切な事故対応ができない現場運転員。そしてそんな最中、まるで誤ったメッセージを発信する枝野官房長官。刻々と破局に向かうなか、そんな密室の制御室の実態が時系列で明らかとなる。人類は核エネルギーの安全なコントロールなど不可能である、ということを番組は瞭然に映し出す。

原発というものは、通常に運転されているときにも、常に危険な状態が休みなくつづいている。原子炉を冷やす水が止まると、たちどころにその危険性が発露する。発熱する病気におかされ、解熱剤を投与しつづけないとすぐに高熱で死んでしまう状態。それが原発の常態なのだ。そして、そんな原発が、いまこのときも運転されている。

もしかしたら「収束宣言」をのたまう野田首相の頭、高熱でやられているのではないか。だれか、原発再稼働に猪突猛進する野田に解熱剤をぶちこんでやってくれ。

2011年12月15日木曜日

東電社長語る。第2弾。「責任を取るという言い方が正しいと言うことはともかく」

【ただちに危険だ! 原発通信】№28

東京電力の西沢俊夫社長は朝日新聞のインタビュー(127日デジタル版)で東電が除染作業に参加するのは「ボランティアで、協力であり、お手伝い」と語ったが、これ以外にも数多くの「はあっ?」発言を連発している。まずはつぎの朝日新聞の質問にこたえる西沢社長の発言(とくに筆者が引いたアンダーライン)にご注目いただきたい。

――東電の原発事故中間報告書が2日に出ました。「国と相談しながら、安全対策をしてきたが、想定を超えた津波が来てしまった。結果的に事故が起きてしまった」という内容で、東電として事故の責任をどう考えるか、あいまいでした。

「国といっしょになってやってきたというのは、アクシデント・マネジメント(過酷事故対策)も含めて、我々としては安全の対策をそのつど、講じてきたのは確かだと。ただ、やはり、今回の事象を思うと、結果的には、電源がなくなり、冷却が行えなくなり、放射性物質を外に出してしまったということは、事実としてこれを受け止めて、おわびしなければいけないと思っている。(中略)それから、いろいろおしかりを受けて、改善しながらやっているが、賠償だ。我々としてやれることはやらないといけないという思いがあり、私自身もそう思う。事故の収束、安定、賠償きちっとやり遂げることが、責任を取るという言い方が正しいと言うことはともかくとして、それをやるということが、大事だ。法的にうんぬんということとは、また、別だが。それを除いても、われわれとして当事者としてやるべきこととして、この二つはやらないといけないと強く思っている」(朝日新聞127日デジタル版)

この西沢社長の発言も突っ込みどころ満載だ。

まず「我々としては安全の対策をそのつど、講じてきたのは確か」についてだが、これは真っ赤なうそだ。それはNHKEテレで1211日放送されたETV特集「シリーズ大震災発掘・第1回・埋もれた警告」を観るだけで明らかだろう。

福島沖に大地震が近い将来、起こる可能性の高いことを警告していた数人の専門家がいた。大地震や大津波が「想定」されていたのである。しかし、東電や文科省、経産省、それに御用学者は、この「想定」をいろいろな理由をつけて闇に葬り、何らの対策もとらなかったのである。しかも番組は、実は東電内部でも15メートル級の津波が福島沿岸に来ることを想定していたことを詳らかにする。

では、なぜ東電は大地震や大津波の対策を講じなかったのか。金がかかるからである。ただそれだけの理由だ。自分たちの金儲けのために、「想定」をしないことにしたのである。

つぎに「今回の事象」という発言だ。これは原発推進派が責任回避するための象徴的な言葉である。

福島第一原発がつぎつぎと爆発したとき、NHKをはじめ各テレビ局に出ていた原子力の専門家と紹介された御用学者はなんと言ったか。「爆発的事象」と発したよね。誰が見ても爆発そのものなのに、彼らは「爆発」とは言わないのだ。「爆発的事象」とは「爆発のようなもの」と言っているのだ。

そして西沢社長は東京電力福島第一原子力発電所事故、つまり4基の原発大爆発及び放射性物質ばらまき事件を「今回の事象」と呼ぶわけである。そう、「なんか原発の事故のようなものが起きちゃって」と言っているわけだ。そのうち、放射性障害で人が死んだことが証明されても、きっと「死亡的事象」と言うだろう。いや、原発事故で地球が滅亡するときでも、彼らなら「地球滅亡的事象」と呼ぶはずだ。

さらに「電源がなくなり、冷却が行えなくなり、放射性物質を外に出してしまった」というのは、原発が地震で壊れたことを隠蔽し、あくまで想定外の津波によるものだ、ということを言外に含んでいる。

そして、これらの発言はつぎの「責任を取るという言い方が正しいと言うことはともかくとして、それをやるということが、大事だ。法的にうんぬんということとは、また、別だが」という発言に結ばれる。まだこの期に及んでも、責任を認めたくないということなんだろう。

人の身体や人の住む環境に致死性の毒をまいた張本人が「責任を取るという言い方が正しいと言うことはともかくとして」なんて言葉をよくも吐けるものだ。この発言を聞いて、放射能汚染に見舞われた住民のなかで、怒らない人が一人でもいるだろうか。

こんな邪悪な感性とこんな発言をする者が社長になる会社が、放射性物質という人類の手に負えない危険極まりのないものを扱っていたのだ。

東電は責任をとりたくないのだ。より正確に言えば、法的な責任から逃れたいのである。可能なかぎり責任を小さくして、その賠償を値切り倒したいのだ。そういう心根があるから「法的にうんぬんということとは、また、別だが」とか「除染はボランティア、協力、お手伝い」という言葉を吐いてしまうのである。

これらの発言は、責任を問われない除染作業や東電が主導権を握る「賠償」には応じるが、もし法的な賠償訴訟をするなら徹底的に争うという意思表明でもある。それを余すことなく露呈したのが、福島ゴルフ場の除染・損害賠償請求の仮処分申請での東電側の主張だ

東電の答弁には、放射性物質について「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」とある。福島原発で爆発し拡散した放射性物質は東電の所有物ではないので、東電は除染に責任をもたない、というのが東電の主張である。

そう、これこそ東電の本音そのものではないか。これは除染だけの話ではない。もしこの天下御免の「無主物論法」がまかり通るなら、賠償も、さらにたとえ原発事故の放射性障害で人が病気になろうが死のうが責任はない、ということになる。だって、東電のものではない無主物なんだもの。

この東電社長の発言は、「嘘」「言葉のすり替え」「責任回避」の自己表明以外なにものでもない。そして、このような東京電力の体質があるかぎり、今後稼働をたくらむ柏崎刈羽原発(7基中、事故と定期検査で5基が停止中、2基が運転稼働中。この2基も来年1月と3月に定期検査に入り、東電の原発は全て停止する)が、もし運転を再開するなら、ふたたびフクイチの二の舞になる大事故が起こる可能性はきわめて高いだろう。そうなれば、すくなくとも日本という国は完膚なきまでに崩壊するだろう。

なお、NHKのETV特集「シリーズ大震災発掘・第1回・埋もれた警告」は最上級のドキュメンタリーだろう。この番組の制作者に満腔から讃辞をおくります。

2011年12月8日木曜日

東電社長語る。東電が除染作業に参加するのは「ボランティア」「協力」「お手伝い」

【ただちに危険だ! 原発通信】№27

きのう7日の朝日新聞朝刊に東京電力西沢俊夫社長のインタビューが掲載された。紙面では一部抜粋しかなく、全部はデジタル版に載っている。そのデジタル版を見ると、西沢社長のことばに眼を疑うと同時に激しい憤りをおぼえた。その西沢社長のインタビューは突っ込みどころ満載だが、きょうはつぎの「ことば」を指摘したい。

――賠償の対象として今後、除染費用も対象になるかもしれません。

西沢「除染はよく分からない。今、細野環境相が一生懸命、国の予算をとって頂いている。我々も除染の作業のチームへ入ったり、市町村への説明の作業にも一緒に入ったり、ボランティアをしたりと、いろんな形で協力をさせて頂いているが、除染の特別措置法では、国が費用を原子力事業者に請求することができるとなっている。そこは国もどう考えるかっていうのはちょっとこれからだと思うが、どうするかよく考えていく。除染について、本当に地域の方々のお気持ちは分かる。しっかり、我々も国といっしょになってお手伝いできればと思っている」 (朝日新聞デジタル版2011年12月7日)

まず、東電の社員がどこで除染チームに入ったのか。具体的詳細に、それを教えてもらいたい。東電第一原子力発電所周辺の自治体が東電にマンパワーを要請したとき、にべもなく拒否したのはどこのだれだったのか。

それにもっとも腹立たしかったのはつぎのことばだ。「ボランティアをしたりと、いろんな形で協力をさせて頂いているが」「国といっしょにお手伝いできれば」おい、お前が「ボランティア」とか「協力させて頂いている」、あるいは「お手伝い」ということばを使うな。

どこの世界に、加害者が被害の後始末をすることを「ボランティア」「協力」「お手伝い」と言うのか。ここでこういうことばは、善意なる第三者がつかうことばだろう。

東電はまるで「善意」で、まさにボランティアの精神でやってます、と言っているように聞こえる。東電としては別にこういう作業をする義務はないが、善意のボランティアで協力、お手伝いしています、ということか。

しかも、「除染はよく分からない」だと。要するに除染費用は出したくないということだろう。そして東電従業員の人的な供出もお手伝い程度ならやります、ということだ。

こういうことばが全国紙のインタビューで出てくるというのは、いったいどういうことなんだろうか。ここでこういうことばが出てくるのは、東電という企業体の本音を吐露しているとみてまちがいあるまい。

しかも、東電がなしたことは人類史的な罪ではないか。これから数年、数十年、いや数百年と、どこまで被害が拡大するか見当もつかないのだ。胎児・乳幼児もふくめた現在を生きる人びとはもちろん、今後誕生する何世代もの人びとの健康と生命と環境をも危険に落とし込めるのだ。

そういう巨大犯罪の犯人、加害者の代表が、よくも「ボランティア」「協力」「お手伝い」ということばが吐けるものだ。

ところで、東京電力福島第1原発副長の平田敬一朗容疑者(45)が衣料品セール会場で値札を付け替えて詐欺容疑逮捕されたのは11月19日正午だ。この日は土曜日。そう終末は勤務がお休みで東京の自宅に戻っていたのだ。

15万人もの人びとが原発事故で避難生活を余儀なくされ、そして何千万人の人びとが健康と生命を脅かされ、財産や仕事など生活の糧を奪われているとき、東電の幹部社員は終末にはきっちりお休みをとり、果てはセール会場で詐欺行為なのだ。

西沢社長の「ボランティア」「協力」「お手伝い」ということば。第1原発副長の詐欺行為。この両者のことばと行為に、埋めきれない乖離を感じるのは筆者だけなのだろうか。


2011年12月4日日曜日

ホットスポット柏の日常。日立柏サッカー場横の公園 地上1mの空間線量0.320!そして巨大な蚊とサツマイモ

【ただちに危険だ! 原発通信】№26



ぶ~~ん、ぶ~~ん。寝ていると、枕元に蚊の飛ぶ音。今朝はきのうよりは暖かいとはいえ、もう124日だろ。蚊が飛ぶか? そう寝ぼけまなこで起きてみると、寝室の壁になんか虫らしきものが張りついている。ん、クモか? いやちがう。蚊にしては大きすぎるが、なんか虫にはちがいない。

新聞紙をまるめ、そうっと近づく。ノーモーション水平強打の一撃。やった! 仕留めたぞ。そう、ぼくは元卓球プレーヤーにして、現役のプロコーチ。得意の水平スイングは、目にもとまらぬ電光石火ショットなのだ。

壁に一筋の赤い線。血だ。これ蚊だったんだ。蚊にしては大きい。巨大だ。大きすぎる。で、この血はだれのを吸ったのか。ぼくの身体はどこにも痒みをおぼえないけど。

あれは先週のはじめだったか。クルマで駅前のスーパーの前を通ると、助手席の妻が驚いた声をあげた。「いま店頭にあったサツマイモ、すごく大きかったよ――」そういうと、自宅近くの無人の野菜販売所にあったダイコンも異様にでかかった。これってもしかしたら、といぶかっていたら、ネットで茨城八千代の巨大ハクサイの写真が出ていた。

「もしかしたら」というのは、野菜がセシウムをたっぷり吸収したからではないか、という危惧だ。そして、けさ枕元を襲った巨大蚊。そういえば、柏の自宅でガーデニングをたのしんでいる主婦のホームページで、これまで見たこともないバラが咲いたと写真を載せていた。

巨大蚊を仕留めたぼくは朝刊を開く。まだ時だ。蚊のおかげで早くめざめた。新聞の折り込みに「柏J初制覇」という号外が入っている。やっぱりここは柏なんですね。都内から柏に越してもう年以上たつが、住みなれてくるにつれ、じょじょに「柏レイソル」のことが気にかかってくる。新聞のスポーツ欄でも、レイソルの試合結果を一番に見るようになっていた。

そして、きのうの優勝が決まる対浦和戦はテレビでしっかり観た。で、後半すぐに点を獲られたときは、ちょっとやばいなあと思ったけど、点目のラッキーなミドルシュートが入って、これで優勝まちがいなしとほっとしたものだ。まあ、とにかく優勝して嬉しかった。

ところで、このレイソルのホーム「日立柏サッカー場」の付近は日立台という小高い丘にある住宅街だ。このあたり、じつは柏のなかでも放射線量が高い。クルマでサッカー場の横をよく通るのだが、いつも日立台交差点で止まると車内に置いている線量計が高くなる。

それでけさ、犬の散歩を兼ねてサッカー場に隣接した日立台公園で線量測定することにした。すると、地上約1メートルの空間線量が“0.320”(12月4日午前7時半ごろ)を示した。今朝の自宅玄関前が0.170だから、やはりこの辺りは柏でもひときわ高いのだ。

制覇”の歓びとともに、放射能汚染の不安感も増したしだい。ふだんこのサッカー場で練習や試合をしている選手たちは大丈夫なんだろうか……。


2011年12月1日木曜日

「甲状腺ホルモンが正常上限か軽度の異常を示す子供が20%くらいいます」川崎市の医師が発信

【ただちに危険だ! 原発通信】№25



ネットを見ていたらつぎのようなツイッター発信の情報に眼が釘付けになった。

――私のクリニックでは甲状腺検査をしていますが、小学生以下の子供では甲状腺ホルモンのFreeT3、サイログロブリンなどが正常上限か、軽度の異常を示す人が20%くらいいます。大人はほぼ正常です。全てが原発の影響とは言えませんが、ある程度の影響を受けていると考えます。
http://twitter.com/#!/Drponchi

この情報を発信したのは川崎市の内科医院(小杉中央クリニック)の布施純郎院長だ。

このクリニックのデータだけをもってフクイチの放射線障害によるものとは確定できないだろうが、けっして看過できない。もし、川崎で20パーセントの子どもに甲状腺異常などの放射線障害が出たとなると、川崎よりはるかに高濃度な汚染エリアの福島はもちろん、東北・関東、そしてここ柏市のホットスポットエリアの子どもたちは、どれだけやばいのだろうか。

また布施院長はこんな情報も発信している。

――昨日「チェルノブイリ事故を体験した医師から学ぶ」ベラルーシ・ゴメリ州ブダ・コシェリョワのスモルニコワ・バレンチナ先生が来日され、医師らが中心に参加して勉強会が行われました。

(1)バレンチナ先生談:事故直後ゴメリ州の移住対象になった区域からブダ・コシェリョ​ワに移住してきた子供たちに初期に出た症状

⇒不眠・鼻出血・アレルギー(皮膚の発疹)・意識消失発作などが​少しずつ出始めた。鼻出血は特に放射性物質の蓄積のシグナルとして重要である。

(2)バレンチナ先生談:ベラルーシは、舗装されておらず、土埃と一緒に放射性物質が飛散​する。その為、最初に影響を受けるのは、目や鼻である。(目はのちに視力障害や白内障も出現)鼻出血の原因として、直接の粘膜刺激と体内の循環系に入り血管壁​が脆弱になることが考えられる。

(3)バレンチナ先生談:甲状腺は通常年2回のエコーを行う。エコー上甲状腺異常があ​れば、血液検査を行うようである。ただ、甲状腺の腫大がある場合、機能が正常な場合、亢進症状、低​下症状がいずれも認めら​れた。(しかし日本とは医療事情が違いのため、検査の順番変わる可能性あり)

(4)バレンチナ先生談:先天性障害19863月~4月に妊娠した妊婦から生まれた子供たちに多指症または欠損、四肢欠損、脊髄分離症など脊髄の異常、内反足​などが出現。(移住地域在住であるないに関わらず)また、妊婦自身にも肝機能障害・高血圧などの症状が妊娠中に出現​した。

(5)バレンチナ先生談:バンダジェフスキー医師は放射性物質は胎盤を通して​、胎児に影響と言っている。また妊婦においては被ばく線量が高いほどリスクは増加する為​、出産までは放射線核種を体外に出すことが必要。政府は妊娠中は、サナトリウムで1か月保養し、汚​染のない食べ物の摂食を支援。

(6)バレンチナ先生談:事故直後の政府の対応:ベラルーシでは科学者の助言で、政策として汚染地域の子供たちに​は給食として3食汚染のない食事を食べさせた。ビタミン剤などを配布した。子供たちは年に数回は汚染のないサナトリウムでの保養を行うことを政策として行った​。

(7)バレンチナ先生談:最初に放射生物質に影響を受けるのは目・鼻・口(声帯のがんが増加)である。それから食道・胃・腸の障害⇒血流にのり全身へ⇒血管壁の障害を引き起こす。全身の筋肉への蓄積は特に心筋では不整脈を起こす。また放射性物質の肺への吸入で最初の年、男性に肺癌が増加した。(終)
http://twitter.com/#!/Drponchi

このなかでぼくがもっとも気がかりなのが、(1)の「子供たちに初期に出た症状」として「鼻出血は特に放射性物質の蓄積のシグナルとして重要である」というところだ。

じつは5月半ば、ぼくの妻が自宅で鼻血を出したのだ。妻は子どものころ以外、鼻血など経験していない。

この妻に鼻血が出たころ、口内炎が口内の左下部にでき、それがどんどん大きくなって咽までひろがり、咽がものすごく痛くて、食事ができなかった。うどんも飲みこめないほどの痛さだという。そしてこの口内炎はなかなか治まらず、結局治ったのは発症してから2週間が過ぎていた。こんなひどい口内炎は初めてのことだ。

それと妻は3週間ほど前にとつぜん激しい不整脈になり病院で検査を受けた。診断の結果、心臓の器質的な疾患はないということだったけれど、これもはっきりとした原因がわからない。妻はこれまで一度も不整脈になったことはない。またこのときの検査で肝機能の数値が正常値を超えていた。

いずれの症状も、上記のバレンチナ先生の話と符合する。いまのところ鼻血はなく、不整脈もおさまってはいるものの、時期もおりもおり、やはりどうしてもフクイチ被曝によるものかと想像してしまう。

もしこれが被曝による器質的症状ではないとしても、東京電力第一原子力発電所の事故は人びとに重大な精神的ストレスを与えていることにはちがいない。心身症というものもあるが、多くの病の原因は心が先か身が先か、なかなか特定できないものだ。