この報告は、昨年(2011年)と今年の1月と2月の人口増減と死因等を調べたもので、昨年の「3・11」以前と以後の死亡数や死因の実態を知ることができる。
そう、福島第一原発から放出された超大量の放射性物質が、人の健康と生命にどれだけの影響を与えたのかを知る貴重なデータになりうる。
この月報で注視したのは「死因別死亡数」。この数値を見て、その意味することに戦慄をおぼえる人もいるだろう。月報の「結果概要」の(2)と(3)をご覧いただきたい。
(2)死亡数は、前年同月に比べ12695人(12.5%)増加(表1)。
(3)主な死因別死亡数は、悪性新生物が前年同月に比べ2066人(7.7%)増加、心疾患が前年同月に比べ2585人(14.6%)増加(表2)。
つまり、この数値は、3.11以前よりも死亡数が12.5%増加、死因の心疾患が14.6%増加を示している。
「心疾患」による死亡の突出した増加は、何を意味しているのか。
ベラルーシの医学研究者ユーリ・バンダジェフスキーは、チェルノブイリ事故で被曝、死亡した患者を調べ、放射性セシウムが心疾患を引き起こすことを臨床的に実証した。
セシウムは心臓などの筋肉に蓄積しやすく、急性心疾患や先天性心疾患、小児心臓病(不整脈、動脈硬化)の原因となるのだ。この研究を裏づけるように、チェルノブイリ周辺住民の健康調査では、事故から20年以上たって心疾患が急増している。
そこで、3.11以後の死亡数と心疾患の増加の原因について、厚労省に電話で問い合わせてみた。
この月報の担当者は、「死亡数の増加は震災の影響」「心疾患の増加は東北の死因データが震災の影響でまとまって出たため」と言った。
たしかに、震災の影響は否定できない。だが、この突出した数のすべてが震災かどうかは判然としない。この月報の数値が、すべてフクイチ事故の被曝によるものとは断定できないが、否定することもできない。
重要なのは、今後公表される、この「人口動態統計月報」を注視することである。
それと公的機関の「原発事故による被曝と健康被害・死亡原因」の調査であろう。しかし、厚労省や文科省、経産省など国の役所にはとても期待できない。
なにより切望するのは、日本の医療従事者、医師・研究者の臨床疫学的調査・集計・報告である。いまこの国に必要なのは、より多くの「バンダジェフスキー」である。
この国の、そして地球のすべての子供の健康と生命のために。
1 件のコメント:
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
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