まず、そもそも0%以外の選択肢を加えることは、政府がこれまで述べてきた「脱原発依存」と完全に矛盾する。脱原発を本気で実現するのなら、まず0%が前提にあって、そこからどういう手順で0%、つまり脱原発を可能なものにするのかを指向すべきである。
これでは、「脱原発にしますか、それとも現状維持か、それ以上にしますか」というもので、政府は「脱原発依存」なんてまったく決めていないことになる。
この3つの選択肢のなかで、政府がねらっているのは、まずまちがいなく15%だ。聴取会は、この15%案への茶番シナリオである。すでに細野原発大臣が5月の段階で「15%がベース」と公言しているのもそれを裏づけている。
では、この15%案なるものは、いかなるものか。
フクイチ事故が起こる以前の2010年まで、原発による発電量は26%とされていた。よって2030年までに15%にするというのは、ただちに「脱」とはいえないが「減原発」であり、脱原発への前進である……というような見方をされるかもしれない。
ところが、この15%案には、国民の目をあざむくトリックが仕掛けられている。
実は15%の稼働率にするには、建設中の島根原発3号機と大間原発の新設が必要とするのだ。では、そのトリックとはどういうものか。それはつぎの新聞記事で十分だろう。
原発事故前の2010年では、原発は国内電力の26%を占めていた。当時もトラブルなどがあって、原発の稼働率は7割ほどだった。
経産省の試算では、廃炉を進めて原発を減らし、2030年で15%にした場合、原発の稼働率は8割に上げなければならず、現実には難しい。現実的な7割の稼働率で15%にするには、新たに原発を1~2基つくらなければならない。(朝日新聞7月25日「教えて!エネルギー1」)
どうだろう。15%なるものは、日本にある既存の原発50基を再稼働させ、おまけに新たに2基増設してはじめて15%に達するという数値なのだ。しかも、2030年に15%にしても、その後の原発のエネルギーに占める割合はまったく決まっていない。
15%はワナだ。原発を現状維持して、2030年以降にはもっと増やすたくらみがある。
国民の圧倒的多くの声は「即時0%」「即刻廃炉」である。2030年まで、あと17年以上も原発を稼働させるのも、「寿命40年廃炉」も考えられない。「いま、ただちに危険な原発やめろ」である。
事故が、地震が、津波が、テロが、いまこの瞬間にも起こらない、とは誰も断言できない。
すくなくとも、これだけは史上最悪の東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓としたい。
再稼働とは、原発を「爆発待機状態」にする、ということである。
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