その日、福島県立医大の大会議室で、ある講演会が開かれた。
集まったのは、被曝医療に携わる300人の職員。
テーマは、火急に選択が迫られた「安定ヨウ素剤の必要性」である。
講演者は山下俊一長崎大教授。
そして彼は、ヨウ素剤の摂取は必要でないと、その使用を否定する。
さらに、こう付け加えた。
「ぜひ逃げ出すことのないように。事故による被曝は地震国で原発立国を進めてきた日本の宿命です」
いったいいつ、日本は「原発立国」になり、ぼくたちはこんな「宿命」を背負わされたのだろうか。
この言葉に、山下俊一という人の全人格が表現されているのではないか。
そして、そんなパーソナリティを有した者が、この日以降、福島の人たちの被曝医療の中枢を担うことになる。
(参考資料・引用『朝日新聞』プロメテウスの罠、医師、前線へ20「ヨウ素剤信仰だ」2013年11月7日)
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