ぼくは柏市に住んでいる。そう放射能汚染のホットスポットといわれている地域だ。
柏市市長は昨年のフクイチ事故当初はほぼシカトしていたけれど、この地域の汚染の深刻さが明らかになるにつれ、それに住民の突き上げにあって、それなりに積極的に放射線測定や除染に取り組むようになった。幼稚園や保育園、小中高が、さらに公園の除染も始まっている。またここ数日前からは、食べものの測定も市が無料でおこなうようになった(1日10件だけど)。食べものにも不安な市民が多いのか、この担当部署への直通電話はいつかけても話し中だ。
そして本日、わが町会で除染作業があった。作業するのは町会役員。もちろんボランティアである。これも放射能汚染にたいする市民意識の高まりの結果だろう。ぼくはこの4月から町会役員になったので、ぼくも参加した。集まったのは柏市の職員数名と町会役員の合計50名ほど。役員のほとんどがぼくより年上の高齢者。
あらかじめ測定してあった線量の高いところをプラスチックや金属のブラシなどでごしごしこすってセシウムを除去しようというのだ。その線量はおおよそ毎時2.7~0.5マイクロシーベルトぐらい。
除染する前にその箇所を再度計測し、ごしごしやってまた測定する。そしてごしごしやってみた。だが、これがなかなか下がらない。コンクリートとアスファルトのつなぎ目の溝など、泥が溜まっている部分にセシウムが吸着しているために下がらないのだろう。こんな箇所を除染しようとすれば、五寸釘などの細い棒状のもので掻きだすしかないだろう。
でも、こんな細かい作業をしていては、なかなか面的にはひろがらない。それに屋根や雨樋にセシウムが付着しているようなので、また雨が降れば線量は元に戻るだろう。50人が2時間ぐらいごしごしやっても、ほとんど効果は見込めないことがわかった。除染には、かなりのマンパワーと時間、それに長期間をようするものなんだ。
本気で町内の線量を面的に下げようとすれば、町会の住民全員がまず自宅の屋根と雨樋、庭をごしごしやってから周囲の道路をやらないと、はっきりとした除染効果は見込めない。そして、随時計測して線量が上がればまたこの作業を繰り返す必要がある。
本日の結論。「除染は甘くない」
チェルノブイリ周辺の地域が何度も除染をやったがいっこうに成果がでなくてやめたというテレビ放送があったけど、そのことがすこしわかったような気がした。
そうは言っても、除染してすこしでも下がるのなら、ぜったいにやったほういい。問題は子どもたちへの被曝をどれだけ防ぐかである。市の職員に訊くと学校や公園の除染は土を削っているのでそれなりに下がっているようだ。ただ、時間がたつと、また上がるのではという危惧がある、と職員は言ったけど。
さて、こういう除染作業を労賃に換算すれば、各家庭の月額の電気代を軽くオーバーするはずだ。しかも、このごしごしやって出た泥や落葉などの低線量放射性物質は市が一時的に保管するのだが、最終的にどう処理するのだろうか。除染作業費用や処理費用を原発電力原価に加算するといったいどれだけ高くつくのやら。
東電の会長、社長を筆頭に全役員、社員、それにすべての原子力村の村民、推進派のみなさん、一度この除染作業に従事してみるといい。いかに原発という発電プラントが愚かな装置であることか、身をもってしるだろう。
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