2012年4月17日火曜日

「福島原発事故で遺伝的影響の心配は無用」と書いた朝日新聞高橋真理子編集委員に訊ねる

【ただちに危険だ! 原発通信】№53



けさ(4月17日)の朝日新聞朝刊に「女性と放射線 心配しすぎる必要はない」という見出しが眼にとまった。「編集委員・高橋真理子」という署名と顔写真が入った記事だ。

将来、結婚できないのではないか。そんな不安が消えないと福島の若い女性が言うのを聞くと、いても立ってもいられない気分になる」という書き出しで本文が始まる。

そして、「だが、過去の論文や学術報告を見ると、福島原発事故で遺伝的影響を心配するのは無用と思える」とほぼ断定的に述べ、つぎにその論文や学術報告の例を挙げている。

それは広島・長崎の被曝者調査、子どもの放射線治療、国際放射線防護委員会(ICRP)のネズミによる実験、福島県の調査などだ。これで「遺伝の心配は無用」となるのだろうか? 

いくつもの例を挙げながら、なぜチェルノブイリ原発事故による被曝障害の論文や学術報告にあたらないのか。福島原発事故による被曝条件に近いのは、広島・長崎の被曝者、放射線治療、ネズミによる動物実験よりも、チェルノブイリ原発事故で実際に被曝した人の事例のほうではないか。これは誰もが認めることではないだろうか。

そして、ベラルーシなどチェルノブイリ周辺地域での被曝による健康被害の調査は、地元をはじめ、日本や各国の研究者によってかなり綿密におこなわれている。ネットでちょっと検索してみるだけで、信憑性の高い調査研究報告を眼にすることができる。

なのに、なぜ高橋さん、これらの研究報告をあなたの記事に加えないの? ちなみにつぎのデータ、ネットで読まなかった? 

チェルノブイリ原発事故によるベラルーシでの遺伝的影響」これは京都大学原子炉実験所のホームページにあったものだ。

この研究報告のデータによると、あきらかにチェルノブイリ事故での遺伝的影響は有意であることがわかる。たぶん、高橋さんもこれを見れば、そう認めるしかないだろう。そして、この報告の「まとめ」としてつぎのように結ばれている。

【引用開始】
われわれの調査結果は,ベラルーシの住民において胎児異常の頻度が増加していることを示している.それらは,人工流産胎児の形成障害および新生児の先天性障害として現われている.そうした増加の原因はまだ断定されていない.しかしながら,胎児障害の頻度と,放射能汚染レベルや平均被曝量との間に認められる相関性,ならびに新たな突然変異が寄与する先天性障害の増加といったことは,先天性障害頻度の経年変化において,放射線被曝が何らかの影響を与えていることを示している.
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Lazjuk-J.html
【引用終了】

どうだろう、高橋さん。この「報告」、ネットで見なかった? 記者でも編集委員でも、常識的にこのあたりの情報は収集するものだけど……。

あなたの記事は「公益財団法人 放射線影響協会」のホームページにある「放射線の影響がわかる本」http://www.rea.or.jp/wakaruhon/mokuji.htmlのなかに記載された内容とよく似ているけど、これがネタ元? 

まあ、なにをネタにしようが、それは書く者の自由なんだけど、この「放影協」って「村」というか「御用」の香りがぷんぷんする。ぼくの鼻がおかしいのかな。

あなたの記事の冒頭、「……福島の若い女性が言うのを聞くと、いても立ってもいられない気分になる」とあるが、ぼくはこのあなたの記事を読んで放射線被曝から無防備になって、注意すれば防げた健康被害を受けるかもしれない福島の若い女性のことを想像すると、いても立ってもいられない気分になる。

――放射線被曝から最大限の注意をはらってください。
ぼくは自分の良心にかけて、福島の若い女性にこうよびかけたい。




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