2012年4月8日日曜日

フクイチ事故で誰も罰せられないのは、裁判官や検察官も原子力ムラのムラビトだから……

【ただちに危険だ! 原発通信】  №50

『週刊金曜日』のバックナンバーを数冊読んでいた。そして2011.10.7日号(特集「原発事故を招いた裁判官の罪」)をぱらぱらめくっていたら、こんなチャートが眼に留まった。それは「原発メーカー・電力会社に天下った司法関係者」というタイトルがあり、以下のような元裁判官や元検察官の氏名と天下り先が記載されていた。

●味村治▶東芝社外監査役(1998年6月~2001年6月)
元最高裁判事、東京高検検事、内閣法制局長官

●野崎幸雄▶北海道電力社外監査役(1998年6月~)
元名古屋高裁長官、仙台高裁長官、弁護士

●清水湛▶東芝社外取締役(2004年~09年)
東京地検検事→法務省民事局長→広島高裁長官→金融庁顧問を経て退職。東京証券取引所自主規制法人理事、弁護士

●小杉丈夫▶東芝社外取締役(2009年~)
元大阪地裁判事補、釧路地裁・家裁判事補

●筧榮一▶東芝社外監査役・取締役(2001年~04年)
東京高検検事長→検事総長を経て退職。東レ監査役、三井生命社外監査役

●上田操▶三菱電機監査役(1949年就任)
元大審院判事(京都帝国大学法学部卒)

●村山弘義▶三菱電機社外監査役・取締役(2000年就任)
元東京高検検事長、弁護士

●田代有嗣▶三菱電機社外監査役(1994年就任)
元東京高検検事、法務省民事局第二課長

●土肥孝治▶関西電力社外監査役(2003年~)
元検事総長、法制審議会委員、大阪高検検事長、弁護士

(『週刊金曜日』2011.10.7日号、三宅勝久「東芝に天下った最高裁判事」15頁)

以上の面々の天下り先をつらつら見ていると、はっと気づいたのだ。そうか、「勝俣がパクられないのは、こういうことだったのか!」ということに。

東京電力福島第一原子力発電所のあれほどの巨大事故があって、なぜ東電幹部や経産省・保安院、原子力安全委員会などの事故関係者が司直の手に委ねられないのかという疑問が解けたのである。

それは裁判官や検察官が原子力ムラのムラビトだったからにほかならない、ということだ。

原発の設置許可処分取り消しを求めた裁判が最高裁まで争われ、その住民側敗訴の判決を出した判事が原発メーカーの東芝に天下っていたことは以前から知っていた。だが、以上に記載したような、これほど多数の司法関係者が原発メーカーや電力会社に天下っていたことは知らなかった。

原発の設置許可取り消し、建設や運転差し止めを求める住民裁判がこれまで14か所で起こされ、その内、住民側勝訴はたった2回。しかもその2回とも上級審で逆転され、結果的にすべの原発裁判は住民敗訴(一部係争中)となっている。

もし、これらの裁判で住民側の意見を真摯に聴き、原発の危険性を裁判官が精査していたら、とうぜん住民側勝訴となり、原発建設はできず、また運転中の原発も止まっていただろう。そうであれば、人類史上未曾有のフクイチ事故は起こらなかった。このような点で、裁判官も原発事故を引き起こした責任と無関係ではいられないだろう。

以上の事故関係者のほかに、原発メーカー、政治家、御用学者、マスコミ、文科省など、原子力の係わる国や業界団体、民間企業など、いわゆる原子力ムラ(原子力マフィアとも呼ばれ、筆者はウルトラブラックと呼んでいる)の構成員に抜け落ちていた機関があった。それは裁判官及び検察官である。そう、彼らも「ムラビト」だったんだ。

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