2014年2月26日水曜日

放射能汚染で、ぼくたちは手賀沼の豊かな漁場をうしなった

千葉県の北西部に手賀沼という大きな「沼」がある。

その周囲は38キロあり、山手線の34.5キロと比較すると、その大きさが想像できるだろう。

ここはかつて風光明媚な景勝地で、この沼を見下ろす我孫子の高台には志賀直哉、武者小路実篤、柳宗悦、中勘助、滝井孝作など、白樺派の文人たちが住んでいた。

現在では夏になると柏市と我孫子市が共催する花火大会があり、沼の周囲には大勢の人たちがつどう。

ぼくの好きな我孫子図書館はこの沼のすぐ畔にあり、そこには犬も入れる大きな公園があって、愛犬が元気なときはよく散歩に連れて来た。

また、この沼はコイ、フナ、ウナギ、エビ、そして名物の佃煮となるモツゴなどが獲れる豊かな漁場だった。

しかし、この沼が人の食用として獲れる魚の漁場だったのは、2011年3月半ばまでだ。

これ以降、この沼で獲れた魚を、ぼくたちはいっさい食することができなくなり、この沼で生計を立てていた漁師たちは、漁に出ることができなくなった。

その理由は、もちろん東電福島第一原発事故による放射能汚染のためだ。

手賀沼が「日本一」で有名だったことがある。

それは「日本一汚い沼」という、あまり名誉な一番ではないが。

大規模な浄化が進み、10年以上前に「日本一」は返上した。

日本一汚い沼で獲れた魚でも食用にすることはできたのだけど、一度の原発事故で、もうこの沼で獲れた魚をぼくたちは食べることができない。

放射能汚染というものが、いかにとてつもなく激しい「汚染」なのかが実感できる。

この沼に漁に出られ、獲れた魚を食べることができるのは、いったいいつの日なんだろう。

数十年先か数百年先、それとも……。

ああ、ぼくたちの世代は、なんて恐ろしいことをしてしまったのだろう。

先祖にも、そして未来に生きる人たちにも……。

きのう25日、安倍政権は原発の再稼働を進めるエネルギー基本計画の政府案を決定した。

(参考資料『朝日新聞』ちば東葛面2014年2月26日朝刊)

 

2 件のコメント:

rocky さんのコメント...

手賀沼の近くに養魚場が有るかとおもいます。
先年亡くなりました親戚のおじさんが以前働いていました。
おじさんの子は市川市と白井市に住んでいて事故当時、小中学生の子供がいましたので晩発性の影響を心配しています。

秋場龍一 さんのコメント...

コメントありがとうございます。

そうですか、ご心配ですね。
晩発性障害はチェルノブイリをみると3年4年あたりから急増しますから。

ご無事を祈ります。