2011年12月8日木曜日

東電社長語る。東電が除染作業に参加するのは「ボランティア」「協力」「お手伝い」

【ただちに危険だ! 原発通信】№27

きのう7日の朝日新聞朝刊に東京電力西沢俊夫社長のインタビューが掲載された。紙面では一部抜粋しかなく、全部はデジタル版に載っている。そのデジタル版を見ると、西沢社長のことばに眼を疑うと同時に激しい憤りをおぼえた。その西沢社長のインタビューは突っ込みどころ満載だが、きょうはつぎの「ことば」を指摘したい。

――賠償の対象として今後、除染費用も対象になるかもしれません。

西沢「除染はよく分からない。今、細野環境相が一生懸命、国の予算をとって頂いている。我々も除染の作業のチームへ入ったり、市町村への説明の作業にも一緒に入ったり、ボランティアをしたりと、いろんな形で協力をさせて頂いているが、除染の特別措置法では、国が費用を原子力事業者に請求することができるとなっている。そこは国もどう考えるかっていうのはちょっとこれからだと思うが、どうするかよく考えていく。除染について、本当に地域の方々のお気持ちは分かる。しっかり、我々も国といっしょになってお手伝いできればと思っている」 (朝日新聞デジタル版2011年12月7日)

まず、東電の社員がどこで除染チームに入ったのか。具体的詳細に、それを教えてもらいたい。東電第一原子力発電所周辺の自治体が東電にマンパワーを要請したとき、にべもなく拒否したのはどこのだれだったのか。

それにもっとも腹立たしかったのはつぎのことばだ。「ボランティアをしたりと、いろんな形で協力をさせて頂いているが」「国といっしょにお手伝いできれば」おい、お前が「ボランティア」とか「協力させて頂いている」、あるいは「お手伝い」ということばを使うな。

どこの世界に、加害者が被害の後始末をすることを「ボランティア」「協力」「お手伝い」と言うのか。ここでこういうことばは、善意なる第三者がつかうことばだろう。

東電はまるで「善意」で、まさにボランティアの精神でやってます、と言っているように聞こえる。東電としては別にこういう作業をする義務はないが、善意のボランティアで協力、お手伝いしています、ということか。

しかも、「除染はよく分からない」だと。要するに除染費用は出したくないということだろう。そして東電従業員の人的な供出もお手伝い程度ならやります、ということだ。

こういうことばが全国紙のインタビューで出てくるというのは、いったいどういうことなんだろうか。ここでこういうことばが出てくるのは、東電という企業体の本音を吐露しているとみてまちがいあるまい。

しかも、東電がなしたことは人類史的な罪ではないか。これから数年、数十年、いや数百年と、どこまで被害が拡大するか見当もつかないのだ。胎児・乳幼児もふくめた現在を生きる人びとはもちろん、今後誕生する何世代もの人びとの健康と生命と環境をも危険に落とし込めるのだ。

そういう巨大犯罪の犯人、加害者の代表が、よくも「ボランティア」「協力」「お手伝い」ということばが吐けるものだ。

ところで、東京電力福島第1原発副長の平田敬一朗容疑者(45)が衣料品セール会場で値札を付け替えて詐欺容疑逮捕されたのは11月19日正午だ。この日は土曜日。そう終末は勤務がお休みで東京の自宅に戻っていたのだ。

15万人もの人びとが原発事故で避難生活を余儀なくされ、そして何千万人の人びとが健康と生命を脅かされ、財産や仕事など生活の糧を奪われているとき、東電の幹部社員は終末にはきっちりお休みをとり、果てはセール会場で詐欺行為なのだ。

西沢社長の「ボランティア」「協力」「お手伝い」ということば。第1原発副長の詐欺行為。この両者のことばと行為に、埋めきれない乖離を感じるのは筆者だけなのだろうか。


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