新聞紙をまるめ、そうっと近づく。ノーモーション水平強打の一撃。やった! 仕留めたぞ。そう、ぼくは元卓球プレーヤーにして、現役のプロコーチ。得意の水平スイングは、目にもとまらぬ電光石火ショットなのだ。
壁に一筋の赤い線。血だ。これ蚊だったんだ。蚊にしては大きい。巨大だ。大きすぎる。で、この血はだれのを吸ったのか。ぼくの身体はどこにも痒みをおぼえないけど。
あれは先週のはじめだったか。クルマで駅前のスーパーの前を通ると、助手席の妻が驚いた声をあげた。「いま店頭にあったサツマイモ、すごく大きかったよ――」そういうと、自宅近くの無人の野菜販売所にあったダイコンも異様にでかかった。これってもしかしたら、といぶかっていたら、ネットで茨城八千代の巨大ハクサイの写真が出ていた。
「もしかしたら」というのは、野菜がセシウムをたっぷり吸収したからではないか、という危惧だ。そして、けさ枕元を襲った巨大蚊。そういえば、柏の自宅でガーデニングをたのしんでいる主婦のホームページで、これまで見たこともないバラが咲いたと写真を載せていた。
巨大蚊を仕留めたぼくは朝刊を開く。まだ4時だ。蚊のおかげで早くめざめた。新聞の折り込みに「柏J初制覇」という号外が入っている。やっぱりここは柏なんですね。都内から柏に越してもう4年以上たつが、住みなれてくるにつれ、じょじょに「柏レイソル」のことが気にかかってくる。新聞のスポーツ欄でも、レイソルの試合結果を一番に見るようになっていた。
そして、きのうの優勝が決まる対浦和戦はテレビでしっかり観た。で、後半すぐに1点を獲られたときは、ちょっとやばいなあと思ったけど、3点目のラッキーなミドルシュートが入って、これで優勝まちがいなしとほっとしたものだ。まあ、とにかく優勝して嬉しかった。
ところで、このレイソルのホーム「日立柏サッカー場」の付近は日立台という小高い丘にある住宅街だ。このあたり、じつは柏のなかでも放射線量が高い。クルマでサッカー場の横をよく通るのだが、いつも日立台交差点で止まると車内に置いている線量計が高くなる。
それでけさ、犬の散歩を兼ねてサッカー場に隣接した日立台公園で線量測定することにした。すると、地上約1メートルの空間線量が“0.320”(12月4日午前7時半ごろ)を示した。今朝の自宅玄関前が0.170だから、やはりこの辺りは柏でもひときわ高いのだ。
”J制覇”の歓びとともに、放射能汚染の不安感も増したしだい。ふだんこのサッカー場で練習や試合をしている選手たちは大丈夫なんだろうか……。
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