2012.3.11「100万人デモ」でただちに全原発廃炉だ!
きのう自宅のポストに一包の大きな封筒が入っていた。カタログハウスの『通販生活』が送られてきたのだ。昨年、カタログハウスのCMがテレビ朝日によって拒絶された「事象」を契機に、『通販生活』の定期購読者になったしだい。
ポストから白い封筒を抜き取り、裏面が眼に入って「おっ」とびっくりした。それは原子力ムラの「専門用語」の解説だった。下記にコピーしておいたので、みなさんよく学習しましょう。
まあ、こういう常用されている表現を言い換えるのは、企業や役所がむかしから得意としてきたことなんだけど。たとえば公共料金値上げを「料金改定」と言ったりね。このあたりはご愛敬なんだが、原発が爆発しているのに「爆発的事象」とか、地域が放射能汚染されて将来の健康被害が憂慮されるのに「ただちに健康への影響はない」なんて官房長官が発言するのは、犯罪的だよね。
それにしても、封筒の裏を媒体に使って、こんなメッセージをするなんて、カタログハウスってセンスあるな。べつにこの会社の宣伝をするわけじゃないけど、この『通販生活』(2012春号)のコンテンツもすごいよ。ぼくも雑誌をつくっていたので、その「マガジン」としてのクオリティの高さがよくわかる。
まず、菅直人(そう前首相のね)のインタビューがあって、そのインタビュアーが山口二郎(北大教授)だよ。これは大新聞の記者のヘタなインタビューより、よっぽど鋭い。
それから特集の「ふくしまっ子たちの健康を守るために」として取材するのが、チェルノブイリの医療活動に参加した経験をもつ、山下俊一(ご存知ミスター100ミリシーベルト)、武市宣雄、菅谷昭、児玉龍彦の各氏だ。
そしてなによりセンスがあるのが、山下氏のインタビュアーが日本チェルノブイリ連帯基金の事務局長である神谷さだ子氏であることだ。このインタビューはこんな双方のジャブからスタートする。
山下 お久しぶりです。10年12月のチェルノブイリの講演会以来ですね。
神谷 はい、通販生活の編集部から、「あなたは山下先生と顔なじみなんだから、市民グループが抱いている山下先生への不信感を率直にぶつけてホンネを聞きだしてこい」と。私も個人として率直にお話ししたいと思っていたところだったので、ありがたいチャンスだと思ってやってきました。
山下 参ったなあ、あなたまで、山下は原発事故の影響をなるべく小さく見せて原発再開を促進させようとする放射能安全神話論者だと決めつけるんですか(苦笑)。
このほかに、「地震多発国の日本に安全な原発なんてあり得ない。」では、サイエンスライターで原子炉圧力容器の設計に携わった田中三彦氏や、15年以内にマグニチュード9級の地震が8割超の確率で起こるという新潟大学名誉教授の立石雅昭氏なども登場している。
また巻頭の沖縄・普天間基地のルポには森まゆみ氏だよ。あの「谷根千」のね。森さんて、東京下町の聞き書きや地方の旅行記は知っていたけど、この手の取材もするんだ、と驚いたしだい。
このカタログハウスとか「原発に頼らない安心できる社会へ」と宣言して東電の電気を使わないことにした城南信用金庫など、こういう企業体はどんどん応援したいものだ。
これって、原発再開のための造語でしょうか?
原子力界で多用される主な「専門用語」
2011年12月4日付東京新聞・朝刊を参考に作成。
【事象】事故やトラブルのこと
危険性を小さくみせようとする典型的な用語。「事故」や「トラブル」の代わりに使う。【高経年化】老朽化のこと
原発の「老朽化」。会見で記者が「老朽化」と発言すると、「高経年化」と言い直されることもしばしば。【冠水】水棺のこと
福島第一原発の廃炉手法。「水棺」が使われ出したころ、「棺」を嫌ってか東電が「弊社はこう呼ぶ」と命名。【滞留水】汚染水のこと
建屋にたまった高濃度の放射性汚染水。穏やかな表現だが表面線量は毎時2000ミリシーベルト超。【燃料の損傷】メルトダウンもあるのに
核燃料が傷ついているだけのような印象を与えるが、福島第一原発1~3号機では溶け落ちている。【廃スラッジ】放射性汚泥のこと
汚染水浄化装置で発生する放射性汚泥。ただのゴミのような呼称だが、実は超高濃度。【バックエンド】核廃棄物処理業務
使用済み核燃料の再処理を含む核廃棄物の処理業務全般のこと。字面からの類推はまったく不可能。【MOX燃料】P=プルトニウム抜き
毒性の強いプルトニウムの使用が最大の特徴なのに、それを感じさせないように「P」を抜いた呼称。直訳は「混合酸化物燃料」。【クリアランス】核ごみを一般ごみ扱いする制度なのに
一定の線量未満の核廃棄物扱いする法制度。「クリア」といいながら放射性物質は含む。【冷温停止状態】高濃度汚染水が大量にある状態なのに
健全な原子炉に使われる「冷温停止」に「状態」をつけ、政府が安全性のアピールにフル活用。
0 件のコメント:
コメントを投稿