2012年2月18日土曜日

東電福島第一原発運転担当の元社員が打ち明けた戦慄すべき内部実態

【ただちに危険だ! 原発通信】№40




2012.3.11「100万人デモ」でただちに全原発廃炉だ!


東電は津波で非常用発電機が使えなくなることを知っていた――
東電は原発の定期検査で虚偽報告をしていた――。

朝日新聞の原発取材シリーズ「プロメテウスの罠」は、いまも連載中の非常に冴えた切れ味をみせるドキュメンタリーだ。現在、かつて福島第一原発の運転を担当した東電社員の驚くべき業務実態を詳らかにしている。その東電社員とは、「炉心屋」と呼ばれる燃焼管理班に所属した木村俊雄(47)さん。まず、この一節を読んでいただこう。

1991年、原発への疑問を膨らませる一つの事件が起こる。
10月30日、福島第一原発のタービン建屋で冷却用の海水が配管から大量に漏れた。
 「補機冷却系の海水配管が腐食してタービン建屋から水漏れしたんです。地下1階に水があふれ、非常用ディーゼル発電機が使えなくなりました」
 原発が水に弱いことに木村は驚き、上司に聞いた。
 「津波が来たら一発で炉心溶融じゃないですか」
 上司はいった。
 「そうなんだよ、木村君。でも安全審査で津波まで想定するのはタブー視されてるんだ」
 津波を想定すると膨大なお金が要る。だから無視する、という意味。木村にとってこの上司は尊敬できる人物だった。しかも福島に来る前は本店で原発の安全審査を担当している。その人物の言葉だけに、これは木村の心に刺さった。
 「津波かぶったら水は流入しますよ。そんなことに気づかないはずはないし、つまり見て見ぬふりをしている。これはもう、原発だめじゃないかって思いましたね」(朝日新聞2月11日)

どうだろう。東電は津波が来ると非常用ディーゼル発電機が使えなくなること、つまり炉心溶融をまねくということを知っていたのだ。

もう、東電がフクイチ事故の言い逃れに言う「想定外」もへったくれもない。現実に起こっていたのだから。さらに、翌12日の記事は、こんな戦慄すべき発言もある。

 「虚偽報告をするんです。たとえば以前、制御棒が壊れることはたびたび起きていました。なのに、その報告は全然していません」

 「検査官が素人というか、何のノウハウもないんです。工学系の大学に行って、たまたまそのセクションにいるだけ。どうやって原発を動かすのかも全然知らない。素人を丸め込むなんて簡単じゃないですか」

「定期検査中、制御棒は1本しか抜いてはいけないことになっています。しかし東電はすべての制御棒を引き抜いていました」(朝日新聞2月12日)

もう安全のための規則、マニュアルなど、まるで遵守していない。しかもインチキしているのは「制御棒」だ。いうまでもなく、制御棒は原子炉の核分裂反応を制御する最重要アイテムだ。命綱だろ。

さらに、これは運転現場の独断ではなく、「つじつま合わせのため、本店と現場で昼夜を問わずテレビ会議をしていました」というのである。

またそれを監督する、国の検査などいとも簡単にスルーさせてしまう。これは東電の会社としての指示だから、とうぜん木村さんが担当した以外の原発、そう福島第一だけではなく、福島第二も、さらに柏崎刈羽原発でも行われていたことはまちがいあるまい。

そして、この驚くべき原発現場の実態が、果たして東電だけなのか、という疑念もわいてくるところだ。

ところで、経産省原子力安全・保安院は、関西電力大飯原発3、号機のストレステストの1次評価を13日「妥当」として、原子力安全委員会へ報告した。しかし、「何のノウハウもない素人検査官」の検査など、だれが信用するのか。また、上記のような実態にたいしての安全審査はどうなんだろう。

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