2013年9月27日金曜日

「日本は、原発の安全技術で、これからも世界に貢献していきます」って、酔っ払いのオヤジギャグじゃなかった!

50代のいい歳をした男が仕立てのいいスーツを着込み、世界の報道陣やテレビカメラを前に、自信たっぷりにこう言い放った。

「日本は、原発の安全技術で、これからも世界に貢献していきます。放棄することはありません」

これ、その辺の呑み屋で、酔っぱらったオッサンのギャグなら、まあ苦笑いで済ませる。でも、この男、一国の代表。そう一応、日本国首相なのだからシャレにならない。

しかし、それにしても、アメリカ・ニューヨーク証券取引所まで出向いて、こんな演説ができるのはある種の才能かもね。こんなことをシラフで、しかもマガオで言える日本人って、誰かほかにいる? 

もし日本の原発に言及するなら、「日本は、原発の未曾有の巨大事故を起こし、世界に大変なご迷惑とご心配をお掛けして申し訳ありません。今後は一刻も早い事故収束に向けて全力で取り組んで参ります」とでも話すのが、まずは人としての礼儀ってやつではないかな。

で、このギャグじゃなかった演説はつづきがある。

「福島の事故を乗り越えて、世界最高水準の安全性で、世界に貢献していく責務があると考えます」

ゴラッ、大風呂敷ひろげるのも大概にしとけ。その世界最高水準で汚染水を1リットルでも完全にブロックしてから言えよ。

さらにまだこの文脈でつづきがある。

「その福島の海では、未来の発電技術が開花しようとしています。「浮体式」の洋上風力発電技術です」

おいおい「未来の発電技術」より、いまこの現在の危機をなんとかするのが先だろ。その福島の海の魚から、放射性物質が完全に検出されなくなってから言えよ。それが人の世の義理であり、理路というもんだろ。

また、この話の前段にはこんなことも述べておるのだ。

「高い効率を誇る日本のLED照明。白熱電球と比べ、電力消費は5分の1以下です。ある試算によれば、65億個にのぼる世界の白熱電球需要を、すべて日本のLED電球に置き換えれば、最新の原発200基分以上の省エネとなります」

そうですか。それなら、まずは日本中のすべての白熱球を取っ払ってLEDに換えればいいじゃないか。そうすれば、日本のほとんどの原発は再稼働する必要がなくなるのでは。

それにLEDでこれだけ省エネが世界中で進むなら、巨費がかさむ原発発電プラントなんて完全に時代遅れで、どこの国も採用しないはずだ。もう外国に首相が原発を売る御用聞きに回らなくてもよくなるし。

以上、この9月25日の「ニューヨーク証券取引所 安倍内閣総理大臣スピーチ」は「首相官邸」のHPに全文掲載されている。

おっと、ご飯食べながら読むとだめだよ。噴飯ものだから……。

このスピーチって、誰が書いたのかな。こんな内容でスピーチ文を依頼されたスピーチライターがいたら、自己の良心との葛藤で発狂するんじゃないか。おなじ売文業として同情するよ。その前に断われよって。それもそうだ。チャンチャン。


 

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