2013年6月22日土曜日

「世界最高の安全性」「世界一厳しい基準」は言語が構築した物語であり、事故の現実性とは次元が異なる

「世界最高の安全性」とか「世界一厳しい基準」という惹句を弄して、この国の首相は世界各国に原発セールスに出向き、国内では再稼働に躍起になっている。

だけど、この「世界最高」「世界一」には、悪しき既視感をおぼえる。

チェルノブイリ原発が事故を起こしたときも、日本はソ連(現ロシア)の技術とはちがって世界最高なのだから、日本では原発事故は起きないなんて、そこらじゅうから聞こえてきたものだ。

さて、現在国内で唯一稼働中の大飯原発について、新規制基準におおむね適合しているとして、9月までの稼働を原子力規制委員会は認める決定を出すという。

しかし、この「おおむね適合」は、おおむねすぎて、無茶苦茶いい加減というか、超ご都合主義に満ちたものだ。

それを列挙してみよう。

①活断層:直下に活断層がある可能性が高いのに「調査中のため評価しない」

②フィルター付きベント:設置なし

③免震重要棟:設置なし

④地震調査:詳細な地下構造の分析なし

⑤津波対策:津波評価不足、防波堤対策不備

⑥火災対策:基準に達していない

⑦原子炉・燃料プール冷却:大容量ポンプ不足

などである。
 
これでは、福島原発事故以前と同じで、ほとんど改善されていない。
 
とくに①の活断層の調査を関西電力にさせているのは、加害者に事件捜査をさせるようなもので、到底受け入れられない。しかも、この調査すら、関電は意図的と疑われるほど遅々と捗っていない。
 
「調査中で評価しない」のなら、この時点で稼働を中止するのが、ふつうの健全な知性をもった人間のやることだろう。
 
たとえば、いま日本海の福井県沖周辺に東日本大震災並みの地震と津波が起これば、大飯原発は福島第一原発と同程度以上の被害にあう可能性が高い、ということである。しかも、大飯原発の直下には活断層がある可能性がきわめて高いのだ。この活断層が地震でずれると、原子炉がある建屋が倒壊することだって考えられるのである。

また、大飯原発3・4号機以外に、全国で12基の再稼働申請がされる見込みだが、これらの原発も新基準には適合していないものがほとんどだ。
 
極めていい加減な安全対策しかほどこされていないのに、運転継続や再稼働がなされようとしていることをまず確認しておきたい。
 
そして、本当に言いたいのは以下である。
 
仮に日本の原発すべてが、言葉の世界で作りだした形而上の物語としてではなく、形而下の実態的、あるいは真に科学的(そんなものがあるかどうか知らないが)な見地で「世界最高の安全」や「世界一の厳しい基準」に適合したとする。
 
しかしだからといって、それでもって事故が起こらないという保証にはならない。
 
「世界最高」や「世界一」というのは、あくまで世界各国の原発の安全性との比較にすぎない。それでトップだからといって、事故を起こさないという証明には、絶対にならない。そう絶対だ。
 
原発の安全性の問題というのは、他者や他国との技術力や設備などとの比較ではない。それは自然現象や地球及び宇宙の振るまい、あるいは人間の振るまいを対象としたものである。
 
そして、そんな極めて複雑な変数を秘め、想定不可能なことにたいして、人がパーフェクトに対応できるなどというのはあり得ない。そう絶対に。
 
また、原発の安全性に関して、確率的思考も受け入れることができない。
 
なぜなら、数億兆分の1、数京分の1だとしても、その「1」という確率があるかぎり可能性はある。あるいは隕石が原発に衝突する確率といっても、現に隕石は地球に日に何十個も落ちているのだ。
 
原発に、その「1」が起きたら、地球が終わってしまう可能性がある。取り返しのつかないことの極致だろう。そんなものを確率的に低いからといって、依拠してはならない。
 
その「1」は可能性があることを意味し、それは原発の存在を地球滅亡の可能性と等式で結ぶことになる。超簡単な理路である。
 
スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマ、そしてこのまま原発が存在すると、確実に第の大事故は起きるだろう。しかも、ふたたび、この日本で起きる可能性が高い。

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