頭部や腕に6発の銃弾をあびていた。
地元警察の発表によると、少年は雑貨店で50ドル相当の葉巻を盗んだという。
この事件を契機に、ミズーリ州では抗議デモや騒乱がひろがっている。
いっぽう、同じアメリカのニューヨークでは、「15億円程度の物件はパンケーキのように簡単に売れる」と、地元の不動産業者がこともなげに語る。
ここ連日、ニューヨーク・ダウは値上がりし、アメリカの景気回復をマーケットは如実にあらわしているという。
だが、アメリカの一般市民に景気回復の実感はない。
なぜか。
景気が回復したとされる、その「益」のほぼすべてが富裕層の手中に収まるからだ。
アメリカの所得上位10%の収入が全国民の全収入の半分に近い。
ごくほんの一部の富裕層はますます富み、それ以外のほとんどの国民は「景気回復」の恩恵にあずかれない。
そればかりか、貧困層はひごとに激増している。
現在、アメリカの貧困層は5千万人(アメリカ国勢調査局)に迫るという。
15億円の物件がパンケーキのように売れ、50ドルの葉巻を盗んで殺されるというアメリカ社会。
このいびつで異常な格差。
だが、これはアメリカだけにかぎったはなしではない。
日本の東京マーケットでも、連日のように株価が値上がりしている。
多くの大企業の収益も増えている。
だが、ぼくたち一般市民は、そんな株価が示すような経済実感をまるでおぼえない。
その「益」はどこに集まっているんだろうか。
アベノミクスの第4の矢は、パンケーキを突きさすだろう。
(参考資料『朝日新聞』2014年8月21日朝刊)
1 件のコメント:
葉巻ほどの値打ちもない命
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