2012年5月1日火曜日

「胎内被曝した子どもの健康児は2.5%」キエフ内分泌研究所

【ただちに危険だ! 原発通信】№56


けさ新聞を読んでいて「2.5%」という数値にわが眼を疑った。その記事はこうある。

「ウクライナの首都キエフの内分泌研究所によると、胎内被曝(ひばく)した子どもの7歳検診では、健康児は2.5%しかいなかったという」

この「2.5%」というのは「不健康児」ではなく、「健康児」なのだ。これじゃ、チェルノブイリ事故当時に胎児だった周辺のほとんどの子どもに被曝障害があるということではないか。

当記事は朝日新聞の文化面に「チェルノブイリ、まだ被害渦中 日本ペンクラブが視察」(デジタル版2012510300)という見出しで掲載されたものだ。日本ペンクラブの理事ら8人が4月中旬にチェルノブイリ事故の影響を知るためにウクライナなどの現地視察した報告会見をまとめている。

この記事を読んで「福島原発事故で遺伝的影響を心配するのは無用と思える」と書いた、同じ朝日の高橋真理子編集委員はどんな気持ちなんだろう。一刻も早く同紙は、4月17日の「〈記者有論〉女性と放射線 心配しすぎる必要はない」という記事の「訂正とおわび」を出した方がいい。それは朝日新聞と高橋編集委員のために、そしてなによりフクイチ事故で被曝したすべての人のために、である。

さて、けさの記事には「事故当時8歳で、今年になって甲状腺がんを発症した男性もいた」という戦慄すべき報告もある。忘れもしない1986年4月26日のチェルノブイリ事故から26年たったいまでも、ぼくたちは放射能の影響から免れないのだ。そういったことからも、「チェルノブイリはまだ被害渦中」ということだろう。

そして、このチェルノブイリの現状は、昨年3月11日から26年後のフクイチの現状ではないだろうか。ぼくたちはきっと、26年後も「チェルノブイリ」のように「被害渦中」なのだ。

「処理作業にはキリがない。絶望的だ。大人は未来に責任をもたないといけない」と話し、原発反対を改めて表明した。

これはチェルノブイリを視察した浅田次郎会長のことばだ。そう、浅田さんもぼくも、26年後にこの世にいる確率はきわめて低い。26年後の未来にさえ、ぼくたち大人は責任をとることができない。

おそらくチェルノブイリとフクイチ事故の影響は、これから50年、100年、いやそれ以上の桁違いの歳月にわたるだろう。フクイチ事故を招いたぼくたち大人は、とんでもないあやまちと負の遺産を現在および未来の子どもたちにのこしてしまった。

そんななかで、ぼくたちができることは、フクイチ事故の健康被害の拡大を可能なかぎり減らすこと、それに原発をこの日本から、さらに世界中から廃止撤去することだろう。それがせめてもの、ぼくたち大人の責任の取り方ではないだろうか。


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