2011年11月3日木曜日

アメリカ政府の「80キロ圏内」避難勧告と日本政府の不作為的犯罪行為

【ただちに危険だ! 原発通信】№20

詳細でわかりやすい放射能汚染地図をつくり、文科省より早く一般公開したのが群馬大学の早川由紀夫教授である。

そんな早川さんのブログやツイッターをあれこれ検索していて、「福島第一原発から漏れた放射能の広がり」
という地図を見て、はっと思った。

http://ow.ly/i/aAV3/original

この地図は福島第一原発を基点に、半径20キロの単位で円周線が記されている。これくらいの距離、放射性物質が飛散しましたよ、という目安だ。

そして、80キロの円周線を見ていると、二番目に濃厚な汚染地域を示した地域と近接しているではないか。そうか、とここではっとしたのだ。

3月17日アメリカ政府が自国民に福島第一原発80キロ圏内からの避難勧告を出した「80」の根拠はここにあったんだ。ぼくは当時、アメリカ政府の「80キロ圏内」というその数値がふしぎでならなかった。なぜ、「80キロ」なんだと。「80」は意味ありげではないか。

この80キロ圏内からの避難勧告はアメリカだけではなく、イギリス、オーストラリア、韓国政府も出している。いまこの地図を見ながら考えると、これらの外国政府は放射能汚染地域を掌握して、それに基づいて自国民に適切な避難勧告を出していることがわかる。

当然、日本政府も放射能汚染地域を掌握していた。しかし当時、日本政府が出した指示は、20キロ圏内の住民への避難、半径20キロ以上30キロ以内は屋内退避である。

日本政府がとった対応は、なんとマヌケで、不適切で、悪意さえ感じられる。なぜこの国の政府は、外国政府のような80キロ圏内からの避難指示を出さなかったのか。

それは福島県200万人、そして東日本3000万人のパニックを恐れてのことだろう。政府が住民のパニックを恐れるということは、なにも住民の身を思いやってのことではない。それはパニックが起これば、日本国政府が危機に瀕するからである。自分たちに被害がおよぶのを避けるために、20キロ圏外の放射能汚染地域住民を見殺しにしたのだ。

以上は筆者であるぼくの「憶測」が加味されている。ノンフィクションを書く身として、「憶測」はいけない。だけど外国政府のとった避難勧告、それに朝日新聞連載の「プロメテウスの罠」を読むだけで、この「憶測」には「合理性」があることが裏付けられるだろう。

原子爆弾を積んだアメリカ軍機が長崎に向かっていることを日本軍上層部は原爆投下の5時間前にキャッチしていた。
にもかかわらず、住民にそれをいっさい報せることはしなかった。

この日本軍上層部の不作為的犯罪行為と、このたびの福島第一原発事故への日本政府の住民への対応は通低している。この国の政府指導者は、一貫して国民を見棄てる政策をとりつづけている。そのことが、このたびの福島原発事故であらわになった。

ウルトラブラック東電を筆頭とする各電力会社と政治家、経産省、原発関連産業などの原発利権集団をふくむ政府支配者に、ぼくたちはどういう対応をとればいいのだろうか。ぼくたち市民は、日々刻々と健康と生命をおびやかすエッジへと追いやられている。もはや、沈黙は死を意味するだろう。

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